Blenderを使ってCGで雲を作ってみる その20

皆さんこんにちは武田です。

以前に電車の中から取った雲の写真です。

地平線近くに雲がたなびいていますが、これを撮ったのは非常に風が強い時だったと思います。
上空の方が風が強いのでこうなっているのでしょう。
この写真の雲は極端な感じですが、こうしたたなびいた雲をつくれるとよいですね。

またもや時間が空いてしまいましたが、その間にも Blender の機能がちょっと進化していました。
まだ Blender 4.0 alpha の中の「実験的機能」で、設定で有効にしないといけないという機能ですが、ジオメトリノードの中に、Sample Volume という機能が尽きました。
これは、ボリュームデータの中身の値をユーザーが得ることができる機能です。
いままでは、ボリュームデータを作ること自体は出来ても、中身の値を得るという機能が無かったので、それを「ちょっと修正する」ということが非常に難しかったのですが、ようやくいろいろなことが出来るようになります。
具体的には、どういうことかというと…

ボリュームを好きなように変形をすることが出来ます。
ボリュームデータの中身が分かるので、「本来の位置からずれた位置」の値をサンプルして、それで新たにボリュームを作れば、歪んだボリュームの出来上がりというわけです。
上の例では、スザンヌの x 座標に z 座標を足し引きすることで、ひしゃげたスザンヌにしていることになります。
具体的には下のようなノードです。

雲の表現をするときに、何故この機能がずっと欲しかったか言うと、風で斜めにひしゃいだ雲が作れるからです。
いままで、モクモクした積雲がぽっかりと浮かんでいる…のには良さそうな雲の形を作れても、風が吹いて荒れ模様のような雲の形は作っていませんでした。
そうした雲の形が欲しくても、風の強い時や、弱い時、またもや風の強さごとに何種類も雲の形を作るのか…と嫌になりそうでしたが、単純な変形で歪んだ雲がすぐに表現できそうです。
ということで、雲の形をひしゃげさせて、風の強い日用にしてみます。
風が強くても、上空で同じ速度で風が吹いていれば相対的に無風と変わらないですが、普通は上空の方が風が強くて斜めになるはずです。

元々の小さな雲塊のデータで、以前に作ったものです。これを変形してみましょう。

もともとややのっぺりしていた雲のボリュームから、毛羽立ちを強くして、上空ほど風下側に傾くような変形を入れました。
なおかつ一部を強くひしゃげさせて、吹き散らすような効果を入れました。

実は真横から見ると、強くひしゃげさせたところは鋭く出っ張ったり凹んだりしていて変なのですが…
ここは、一枚絵としてそれっぽくなっていれば良いものとします。

ということで風下方向に傾いた雲をいっぱい作ります。
元々の雲の形のバリエーションがまだ足りなかったのでしょう、多少シルエットが似た形が多くなってしまいましたが、まぁ良いことにします。
(雲を回転させたりして、もっとうまくバリエーションを作れた気もしますが、試行錯誤しながらだったので…)
前回と同じように、AIを通して少しだけ細部のデティールを増やして素材用に背景の切り抜きをしました。

空間上にランダムに配置をしました。
ちょっと風にたなびいている感が少ないですね。もっと思い切って素材を傾けても良かったのかもしれません…
それはそれとして、いろいろとランダムのシードを変えてみたのですが、同じようなサイズの雲が並んでいたり、同じテクスチャの雲が近くにいたりと、なかなか自然なランダムさにならない感じです。

そこで、雲の周りに小さな子供の雲を(これまたランダムに)配置するような工夫をしてみました。
子供の雲がランダムに付きまとっているので、塊としてみた雲の見た目やサイズにランダム感が増します。

全体的にごちゃごちゃっとした感じが増しています。
遠くにも多くの雲を配置して、遠くまで雲が広がっている感じを出しました。
ただ、空の写真を参考に雰囲気を合わせていたのですが、ちょっと地味な感じがします。

くっきりはっきりした感じにになるように、色の諧調を抑えながらくっきりした色になるように調整を加えてみました。
ボリュームレンダリングそのものだと(計算機の資源と、細かいデティールまである雲を用意するのが難しいので)解像度感を出すのが難しかったのですが、細部だけAIに補強させた素材を使うことで、だいぶ解像度感もでてきましたし、立体的に配置をしているので、悪い意味でのAIっぽさも少なく感じます。
なかなかいい感じになってきたかなというところで、ゆるりと続けます。

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