Blenderを使ってCGで雲を作ってみる その17

皆さんこんにちは武田です。
長らく青空と雲を追及しましたが、
曇り空の雲で気になっていたものがあるので、曇った空についてちょっと追及をしてみます。

気になっていた、というのはこういう雲。
曇り空の下に、さらにぽっかりと浮かぶ綿雲(積雲)。
意外にこういう組み合わせになっている空を見かけることがあるのですよね。

そういう場合、条件しだいで意外なほど白い雲が灰色の雲をバックにぽっかりと浮かんでいることがあります。
ああいう雲は、どういうときに見えるのだろうかと考えてみます。

まずは、曇り空の下の雲がどのように見えるのか Cycles で実験をしてみました。
地面もなにもかも無視して、背景を灰色単色にして、
その上に雲のデータ(VDBファイル)をぽっかりと浮かべてみると、黒雲になります。

ただ、これはデフォルトのパラメーターだからですね。
光の散乱の計算が1回で打ち止めなので、2回目の散乱が起こるとそこで光が消えてしまうことに相当します。
散乱の回数設定を挙げていくと、黒味はどんどんなくなり、ほとんど見えなくなりました。

散乱 4 回と 24 回の場合です。24回ではほぼ見えなくなり、いわゆるホワイトアウトみたいな状態が再現できるようです。

光の散乱が重要だとわかったところで、背景が全部真っ白ではなくて、地面と空で白黒に分けてみます。
といっても背景が白だとそれ以上明るい部分が表現できないので、明るさを抑えて、
灰色と黒での塗り分けです。

下の地面からは光が来ないので、雲の下側が暗くなりました。
とはいっても上側も光量が足りないのでしょう背景よりは暗く、曇り空を背景に白く浮かび上がった雲にはならないようです。
照らされた以上に明るく見えるような条件というのは、(スペキュラー的な反射で光源が映り込んだりとか)
特殊な場合でしょうから、雲でそう言ったことが起こることはあまりなさそうです。

そこで、灰色一色の背景というのが単純すぎたのだろうともう少し考えてみます。
空にある程度の厚みを持った板を置いて、空を覆う曇り空とします。
この板は、普通の表面を持ったポリゴンではなく、ボリュームが詰まった雲替わりのマテリアルです。
太陽は(ちょっと単純化しすぎて不自然かもしれませんが)真上から照らしているものとします。
背景色は黒に戻して、太陽からの光だけが雲替わりのボリュームを通して抜けてきます。
カメラは真上を向けて、魚眼で撮影をしてみました。

等方的な散乱の場合です。地平線方向はやや暗く見えます。
(光が雲の層を通り抜けにくいので大分暗いです)
同じ雲の厚さ、濃さでも、前方散乱にすると明るくなります。

前方散乱の程度を大きくすると、天頂付近と地平線付近の明るさ差が強く出るようです。
どうやら、上からは明るく照らされて、地平線付近の暗い背景をバックにしてみる状況になるので、明るく見える雲ができるかもしれません。

実際に、この雲の層を通した光で先ほどの雲を見てみます。

遠くの方には、手前よりも薄く、影の乗りづらい雲を置いてみました。
背景のやや暗い曇り空に対して、白く浮かび上がっている雲がうまくできたようです!

これは、どうやら上方向から明るく照らされて、地平線方向は暗いならば、
曇り空にさらに白く浮かび上がる雲、という状況に普通になるようです。
(実際の曇りの場合は、普通に雲の厚さに差があるでしょうからそれの方が重要かもしれませんが…)
厚さの差が無くても普通にそのような状況になりえるようです。

そうと分かれば、上空の曇り空からの光まで全部力任せに計算をする…という無茶なことをしなくても、
上空にはそれらしいテクスチャを置いてそこから光が来るとして、

それを元にして「低空の雲だけ計算する」とすれば良さそうです。

実際、上の図をつくってるときは「上手くいきそうな感じがするぞ…、
でも一回は全部計算して確認しておこう…」とやたらと時間をかけてレンダリングをしたのでした。

ということで、上からは比較的明るく照らされて、
地平線方向は暗くなっているようにした背景に積雲などを配置してみました。
ぼーっと明るくなった白い雲が浮かんでいる曇りの日の空の雰囲気がまぁまぁ出ているように見えます。
雲の形などをもっと良い形にすればもっと良さそうですが…

曇りの雲をもっと追及するか、別のことを考えるか、まだ決めて無い状態ですが
とりあえず続く

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